ハウ・トゥー・GET・ザ・チョッコレイト☆




散々言うが、凛子の父さんは、プロレスラーだ。



十二本プロレスとかいう団体に所属していて、「東 ケンタウロス」の名前で活躍している。



凛子にせがまれて何度かおじさんのプロレスを見たことがあるが、圧巻だ。



中でも、トップロープから繰り出される必殺技の「ケンタウロスフェイクサンダープレス」は、高い跳躍力に2回転も捻って、相手の上に落ちてくる。



普段のおじさんは、こんな感じで、どっちかというとパンを焼いてそうなイメージなのだが、あの時ばかりは、おじさんを父に持つ凛子が羨ましく思えた。



最近は、行かなくなったプロレスだが、引退するとなると、少し寂しい。



「本気なんですか?」



「ああ。もうきっぱりやめる。けど、まだ会社の一部しか知らんし、マスコミにも発表してないから、黙っとってくれるか?」



「それはいいですけど・・・けど、なんか残念です。ケンタウロスフェイクサンダープレスが見れなくなるなんて・・・」



「はははっ、まあ、明日、よかったら凛子と一緒にわしの最後の雄姿を見届けてくれんか?」



「そ、それはもちろん・・・」



俺は、凛子をチラっと見た。



やっぱり、悲しそうな顔をしている。




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