ハウ・トゥー・GET・ザ・チョッコレイト☆
俺は、おじさんが練習に行くのを見送り、凛子と一緒にカフェでお茶することにした。
せっかくの休日だが、まあ、おじさんにはいろいろお世話になっているし、何より凛子を放っておけなかった。
「まあ、元気出せよ。元気でも呼ぶ?」
こんなに面白いダジャレを言ったにもかかわらず、クスリとも笑わないとなると、相当、ショックを受けていると見える。
「・・・ジローちゃん、どうすればいいかな?」
どうすれば・・・
んー、引退しないでくれ!なんて言えないしな・・・
「・・・あのね、父さん、本当にプロレス大好きなんだよ!?"凛子がプロレスラーになったら一緒にタッグを組もう"って。"それまでリングで待っててやるから"って。そう言ってたのに・・・」
そういえば、俺も聞いたことがある。
常日頃からおじさんは、「わしの夢は、凛子やジローくんとお酒を酌み交わして、凛子とジローくんが結婚して、それで凛子と一緒にリングでタッグを組むことだな」って。
俺は、凛子と結婚なんてのはごめんだが、あんなこと言ってたおじさんが簡単に夢を諦めるなんて、おじさんらしくない。
俺に何かできればいいんだけど、今、俺にできることは、明日のおじさんの雄姿を凛子と見守るだけだ。
引退を阻止なんて・・・
「そうだ!ジローちゃん!」
急に凛子が立ち上がった。
こういう時は、危ない。
「私にいい考えがあるの!」
なんて言った暁には、俺はいつもひどい目に遭うのだ。