Dream。~君と私の応援歌~


こんな形で会うなんて思ってないし。

心の準備だってできてないし。


でも雫はそんなこと気にした様子もなく、「ごめんね」と立ち上がる。


「でも、なんでここにいんだよ。心春先輩と部室に来ればよかったのに……」


「……顔、合わせにくいじゃない?」


それを言うなよ!


雫の顔が真っ赤になっていく。
もちろん、俺の顔も。


「……私ね、考えたの。返事」


「あ、ああ……」


緊張する。

唇が乾き、何度もなめる。


「私、詠斗がやっぱり好き!」


そっか。そうだよな……。


考えてみれば分かることだ。


兄貴に勝てるはずなんてない。

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