Dream。~君と私の応援歌~
「何言ってるんだよ。事実を言っただけだろ。死んだ奴がいるせいで、あいつは自由に恋できない。惨めだって」
「……そんなことねえよ。どこが惨めなんだよ!!!雫は、全然兄貴のことを恨んでない!今でもずっと好きなんだ!でも……俺といて変わろうとしてる。俺も、雫といて変われた。……気持ち分かってるくせに、あいつを傷つける、お前の方が惨めだよ……」
そう言って、俺はこいつの腕を放した。
「……俺は中村詠斗の義理の弟だ。」
「は?」
こいつが目を丸くした。
「だから、雫と兄貴を傷つけたお前を許さない。俺は、どんなことがあっても、野球をしてみせる。そして、雫を幸せにする。……お前と違ってな。」
そう言い残して、俺は部室を飛び出した。
雫がどこにいるのか。
そんなこと、好きなら分かる。
あいつの痛いほどの気持ちも、泣きたいって訴えてる瞳の奥の感情も、全て……。
――……俺が包んでやれたら良かったのにな。