Dream。~君と私の応援歌~
信太side
勝ち負け
9回表が終わり、竜の打ったボールも綾野にとられ結局0対0のまま、裏を迎える。
「おい。信太」
ベンチから出るとき、竜に呼び止められた。
いつになく怒ったような顔。
きっとその矛先は――。
「綾野湊。あいつを潰すのは俺の役目だ。打たせて、潰す。分かったな?」
「……本気で言ってるのか?」
「なんだ?できねえのかよ。やれよ。お前ほどのコントロールがあれば、打たせることくらいできるだろ」
したくねえ。そんなこと。
でも、俺がここにいるためには、雫を守るためには、やるしかねえのか。
俺は「できる」とゆっくりうなずいた。
ごめん。雫。