Dream。~君と私の応援歌~
ピッチャーマウンドに立つと、俺は大きく深呼吸した。
こうでもしてないと、俺の精神が持ちそうにねえ。
観客席に目を向けると、オペラグラスで雫がこっちを見ていた。
ごめん。俺、お前に苦しみしか与えることができねえ。
『4番バッター……綾野くん』
アナウンスでハッと我に返る。
バッターボックスには、既にやる気満々のあいつがいた。
……大丈夫だ。落ち着け。
絶対、打たせるわけにはいかねえ。
三振で終わらせるんだ。
そうすれば、竜を納得させることができるはず。
『あいつは三振で倒れたんだから、それでいいだろ?』って。