Dream。~君と私の応援歌~
「綾野くんが、色々教えてくれたら……。私も思い出すから!綾野くんのこと!」
それだけでも嬉しかった。
俺は「じゃあ」とベッドの脇にあったギターケースを雫に渡した。
「……ギターケース?」
「それ、お前の相棒。お前、軽音部の部長だったんだよ。夢は歌手。」
「……私の夢」
雫はギターケースからギターを取り出すと、物珍しそうに眺めた。
「そう。綺麗な演奏と綺麗な声で、いつも俺を助けてくれた。俺は、お前の歌大好きだった」
いつもお前の歌で俺は助けられてた。
義足になったときも、お前は歌で俺を勇気づけてくれた。
もう一度、俺に『野球ができる』と思わせてくれたのも全部……。