Dream。~君と私の応援歌~



















1年前――。


彼がバッターボックスに入ると、一瞬で空気が変わった。


彼は獲物を狙う鷹のような目で白球をとらえる。


「詠斗(えいと)!!!頑張れー!!」


私の声が届いているか分からない。


だけど、精一杯叫ぶ。


そして、白球が投げられた。


それを打つ彼のバット。


白球が高く高く打ち上げられ、真夏の空に溶け込んでいく。


彼の打ったボールは見事に場外に飛んでいった。


「場外ホームラン!!」


ホームで仲間たちに抱きついていく彼を見ていると、自然に涙が流れた。


「やった……やったよ!」


私は嬉しくて彼に何度も手を振った。


彼がそれに気付き、私にニカッと笑ってみせる。


「これで、甲子園に行けるね」


彼の夢だった、甲子園。

それが現実のものとなるんだ。



< 4 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop