Dream。~君と私の応援歌~
1年前――。
彼がバッターボックスに入ると、一瞬で空気が変わった。
彼は獲物を狙う鷹のような目で白球をとらえる。
「詠斗(えいと)!!!頑張れー!!」
私の声が届いているか分からない。
だけど、精一杯叫ぶ。
そして、白球が投げられた。
それを打つ彼のバット。
白球が高く高く打ち上げられ、真夏の空に溶け込んでいく。
彼の打ったボールは見事に場外に飛んでいった。
「場外ホームラン!!」
ホームで仲間たちに抱きついていく彼を見ていると、自然に涙が流れた。
「やった……やったよ!」
私は嬉しくて彼に何度も手を振った。
彼がそれに気付き、私にニカッと笑ってみせる。
「これで、甲子園に行けるね」
彼の夢だった、甲子園。
それが現実のものとなるんだ。