Dream。~君と私の応援歌~
「何でもありません。」
そう言って腕をまくり、投げられたボールを打つが、思うように飛ばない。
「……雫のこと?」
さっきまでの俺なら「ちがう」って否定してたんだろうな。
今は、素直にうなずく。
「雫ね、大好きだった人が目の前からいなくなって、野球を見に来なくなったんだ」
「野球、好きだったのに?」
「そう。大好きで……。だから、見に来なくなったんだと思う。彼を思い出すから
。甲子園に行けなかった、彼を……」
そう話す心春先輩の瞳が潤んだ気がした。
俺は……。
どれだけ、あいつにひどいことを言ったんだろう。