Dream。~君と私の応援歌~
『歌手になれるよ』
湊くんに言われると、本当になれる気がするな。
「……ありがとう。湊くんもなれるよ。詠斗を超える、野球選手に……」
すると湊くんが頭をかいて、すこし困ったような顔をした。
「超える気は満々なんだけどさ……兄貴を超える選手になるには、どうすればいいのかわかんねえんだ。」
詠斗のいつも全力の野球。
それは義理の弟である湊くんが一番知ってる。
「大丈夫だよっ!湊くんは『野球の天才』なんだよ!天才って、元からある才能の事じゃなくて、努力して生まれたもの!だから……大丈夫!」
「……ははっ。お気楽だな。お前」
お気楽じゃないよ。これでも、一人前に悩みだってあるもん。
「でもありがとな。兄貴を超えて、必ずお前を甲子園に連れていって、兄貴の夢、果たしてやるから。」