Dream。~君と私の応援歌~
そう。俺のせいで……。
『悔しいなら、次は何をすればいい。ずっと落ち込んでるままか?』
兄貴が俺に微笑んだ。
『お前の次することは、その悔しさをバネにすること。悔しいと思うなら、それはそれだけ野球に真剣だったってことだ。お前がマジだったってこと。』
そうは言われても、俺の中の不安は拭われることがなかった。
兄貴にボールを投げ返すと、兄貴がすこし嬉しそうに話始めた。
『俺さ、絶対彼女を甲子園に連れてくんだ』
彼女?兄貴、彼女いたのか?
『彼女くらいいるに決まってるだろ。
その彼女に、甲子園でホームランをプレゼントしたい。……これが俺の夢かな』
そう照れながら話した兄貴を俺はずっと忘れることはないと思う。
雫を聞いた、初めてだったから。