Dream。~君と私の応援歌~
兄貴の父さんは俺に『母さんを呼んできてくれ』と頼んだ。
俺が母さんを連れてくると、兄貴の父さんはその場で泣き崩れた。
『……詠斗が、詠斗が……。死んだ……。車に跳ねられた……』
ここまで積み上げてきた何かが、音をたてて崩れた気がした。
兄貴が、死んだ……?
嘘だろ。
目の前で起きてることすべて、嘘だと言ってくれ。
母さんが、兄貴の父さんが泣いている。
『兄貴は……なんで……どこで……』
震える唇でひとつひとつ言葉を噛み締める。
『選抜を終えて……あいつは携帯を家に忘れてて……公衆電話でどこかに電話をかけようとしたんだろうな。そのときに……飲酒運転の車が突っ込んできて……』
公衆電話でどこかに……。
きっと、俺にかけようとしたんだ。