おまけのコイゴコロ
 


ありがとー、と廊下から声が聞こえたかと思えば、平山さんと森さんは早々と教室に戻ってきた。
その手に握られているのはやっぱり、リボンのついた小さな包み。



「大上さーん」


律儀なやつ。去年はそう思って、せっせとお菓子を配る彼をただ面白くなく眺めていただけだったけれど。

……今年は、わたしももらえるんだ。

わたしは手早く荷物をまとめ、こちらに手招きしてくる宇佐美のもとへ駆け寄った


「この後なんか用事あるの?」

「ううん、特にない」

「そ。じゃあ今日は会室担当じゃないことだしもう帰りましょーか」


――が。

そう言いつつ宇佐美は紙袋を潰してコンパクトに折りたたみ、肩にかけた通学鞄に何の迷いもなく突っ込んでいく。……あれ?

「あの、宇佐美くん……?」

「ん? どした?」


わたしへのお返しはないんですか?




……なんてね!


「……やっぱ何でもない」

「えー、なんだよ気になる」


言ってよ言ってよ、と宇佐美は笑いながらわたしの肩を揺すってくるけれど。

むりむり。言えない。
お返し目当てみたいで、なんか図々しいし。そんなふうに思われたくないし。


 
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