おまけのコイゴコロ
宇佐美の手の中で、抵抗もなくあっさりとぺたんこになった紙袋。中にはもう何も入っていないようだった。きっと平山さんと森さんの分で最後だったのだ。
……もしかして、忘れられてる、とか?
いや、でも、
(宇佐美の方から催促してきたのに)
顔を上げてじいっと見つめてみても、当の本人は首を傾げて長い睫毛で縁取られた目をパシパシまたたかせるだけ。
うーん……なんだろ。よくわからないけれど、とりあえずわたしの分は用意されていない、というかまさかわたしが渡したクッキーはバレンタインチョコとしてカウントされていなかったりしちゃう……?
「おーい大上」
口では色々言って褒めてくれたけどやっぱり不味かったんだな。ちゃんと味見しなかったのがいけなかったんだ。
俺への愛が足りないから失格、とか、
「お、お、か、み、さん!」
「ふぁいぃ!?」
頭上から大声で名前を呼ばれ、びくりと肩が跳ねる。……変な声出た。恥ずかしい。
口元を手で覆ったわたしに、宇佐美はまた、人懐っこい笑顔を向ける。