おまけのコイゴコロ
「まだかなり家に余ってるし、大上がアレがいいって言うなら明日いくらでも持ってくるけど。大上へのお返し、みんなと同じものでいいの?」
「……っ!」
ぶわわわわ! と。
頭のてっぺんからつま先まで、全身に一気に熱が回ったような気がした。
たくさんの中のひとつ。1ヶ月前、やっとの思いで手渡した、おまけみたいな恋心。
……ねえ、宇佐美。
ずるい。こんなの絶対ずるい。
だって、そんなこと言われたら、
落ち着かない心臓と茹で上がった顔をなんとか隠したくて大げさに俯いたわたしは、右手を包む彼の手をそっと握り返した。
3月14日ホワイトデー。
この日の放課後わたしとパン屋さんに行くために、またしても会長さまが事前に会室担当の割り振りを好き勝手に調整していたことを知るのは、もう少し先のはなし。
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