おまけのコイゴコロ
 


「……はい?」


いきなりの質問。しかも唐突すぎて意味がわからない。

……それはもう、担当割り振りが決まったときからずっと思ってることだけど。


「割り振りっていつも俺が勝手に好きなように決めてるんだけどさ、」

「……うん、知ってる」

「今日バレンタインデーなんだけどさ!」

「知ってます」

「こんな日はぜひとも大上さんからチョコをもらいたいんだけどな!」


……。

…………。

………………。



「あの、そんなに黙りこまないでいただきたいんですけど……」


いつになく真剣だった宇佐美の表情がふにゃりと緩み、半笑いしながらわたしの顔を見上げてくる。
わたしもなんとなくつられて、へらりと笑ってみた。

……えっと、これは。どう突っ込んだらいいものか。


「……じゃあ、わざと今日わたしたちが担当になるように割り振ったんだ」

「そうです」

「わたしのチョコがほしくて」

「大上がくれるならここのチョコ全部差し出してもいいです」


……いや、いらないけど。


 
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