おまけのコイゴコロ
「おおか、」
「───ちゃんと作ってきたよっ!」
ええい、もうこうなったら今しかない。
腹を括って、宇佐美の手のひらの中でぎゅっと手を握りしめる。顔が一気に熱くなって、声が震えた。
「作ってきたけど! お、お菓子とか作るの久しぶりだし! 甘いの苦手だから味見もしてないし! 他の子たちのよりぜったい出来悪い、」
「まじで!!!」
まだ言い終わっていないのに、ガシャンと音を立てて宇佐美が立ち上がる。
さっきまでじっとわたしを見上げていた顔が、今度は上から、まんまるになった目を向けてきて。
床に置いていた鞄の底からおずおずと薄ピンク色の包みを取り出し、大きな手のひらの中に押し付けると、
「ありがと。大上の手作りほんと嬉しい。ありがと!」
本当に本当に、これ以上ないってくらい幸せそうに笑うものだから。
「……言っとくけどそれ、義理だからね」
ねえ、どうか、これくらいの照れ隠しは許してください。