ご近所さん的恋事情
「葵はちゃんと家にいろよ。ん、まあ…幸紀が泊まってもいいからさ…」


「うん!お兄ちゃん、ありがとう!」


渋々だが、妹の恋人を渉なりに認めてはいる。元々、全面的に反対をするつもりはなかった。渉も葵と同じで、妹の幸せを願っているのだ。


「仲がいいのね」


小走りで駅に向かう葵を見送りながら、瑠璃子が優しく微笑む。


「ん、仲は良いと思うよ」


「腕を組む妹さんを見て、少し妬けちゃった。フフッ」


「なにかと甘えん坊なんだよね。はい、どうぞ」


渉は、瑠璃子に左腕を向ける。腕を組んで…という意味だ。


「そういうつもりで言ったんじゃないけど、ありがと」


腕を組んで寄り添う瑠璃子からは葵と違う甘い香りがした。渉は、弾む心を正直に伝える。


「瑠璃子さんが隣にずっといてくれると嬉しいんだけど」


「え?あの…私なんかが隣でいいの?」


「もちろん。瑠璃子さんがいい。改めてだけど、俺と付き合って」
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