ご近所さん的恋事情
店長に恥ずかしい声援を送られ、二人は手を繋いで歩き出す。

時折吹く風は初夏を感じさせ、暖かい。酔っているせいもあり少し汗ばんでいた。


「帰ったら、汗を流したいね」


「瑠璃子さん、一緒に入ろう」


「え?無理だよ。渉くんが先に入って」


予想もしない申し出に瑠璃子は、首を横に振った。


「だって、また待つのは嫌だよ。いいでしょ?一緒に入ろう?」


瑠璃子を待っている間にまた寝てしまう恐れがある。それだけは何がなんでも回避させなければならない。

瑠璃子にも前回待たせてしまった負い目がある。もしまた待たせたらまたもや酷い女になるだろう。だから、これ以上否定は出来ない。


「うん、分かった」


「あはは。じゃ、よろしく」


渉は繋いでいる手を大きく振って、嬉しさを体全体で表現した。


入るのが二度目の瑠璃子の部屋は一度目と何も変わっていなく安心感を覚えた。

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