ストーカーではありません。見守ってるだけです。
「あ、あはは、そ、そうなんですかー!!
 咲さんと拓哉くんならお似合いたと思い ます!!」







私が心にもないことを言うと咲さんはかなり上機嫌になる。



「あら、そうかしら?
 そう言ってもらえて嬉しいわ。
 あなた、いい子ね。名前、なんて言う  の?」






個人情報教えろってか。



やばい、これは下手なことしたら抹消されるパティーンだぞ。



慎重に、慎重に。




「えっと3年A組の山田花子と申します。」







偽名を使った。




いや、だって追いかけ回されたら怖いし。



正当防衛だ。おっけー、おっけー。









「へぇー、そんなテンプレみたいな名前本 当にあるのね。あはは、面白い。」








全く面白そうに聞こえないのは私だけか。




「ああ、もうこんな時間。ピアノのレッス ンの時間だわ。では、山田さん、ごきげ よう。」








ごきげんようなんて使うんだ!?






そんなんお嬢様学校でしかないのかと思ってたわ!!







「あらら、ごきけんようです、咲さん。」






咲さんが華麗に手をひらひらと翻したので私も負けじと華麗に手を翻し、颯爽とその場を去る。


引きつった笑みを浮かべる理穂を連れて。
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