STRAIGHT
2年前の春




----あの子だよ、ほら。あの子。



ささやかに、でも、聞こえ続ける

周りからの声。



私は周りに浮かないために

入学前に20キロも体重を落として

眼鏡からコンタクトに変えて

俗に言う、イメチェンをして

今に至る。




教室の入り口に見たことのない人たちが

私を見に来ている。


元から目立ちたがり屋で

はじめは少し嬉しかったが

今では恥ずかしさが勝っている。



そんな囁き声をかき消してくれたのは


「しーーーーおんーーーーー」


いっつも明るくてノーテンキ。

中学からの友達の清水まこと。


「一躍有名人じゃーん。すごいね〜。」


まこは他人行儀な言い方をしてくる。


「まこー、まいてきてよ〜。」

「やーだやだ!他の男と話したら
隼人に怒られるもん〜♩」


隼人とはまこの彼氏で、

去年の12月から付き合っている。


耳が痛くなるほど

2人ののろけは聞いている。


だけど、私の耳には

隼人くんの嫌な噂も入ってくる。


女絡みがひどいとか、

まこに隠れて女と会っているとか…。


そんなことまこには言えずにいるけど

なんとなくまこも勘付いてるけど


あまり触れないようにしている。



「あ、隼人くん。」


私が廊下で隼人くんを見つけた。


まこの表情がパァッと明るくなった。


「はや…」


まこが話しかけに行こうとしたのに

隼人くんはどこかへ
早足で行ってしまった。


「あーあ、まただ。」


まこは落胆して見せた。


最近2人はどうも
うまくいってないようだ。


そんな二人を見てると

恋愛なんてしないほうがいい。


なーんて思って、
人と付き合ったことがない。



とは、口先で言うものの


本当にできた試しはないが

男の人が寄ってこなかっただけだ。



本当は恋をしてみたいし

付き合って色々な場所へ

デートもしてみたい。



そんな野望をずっと抱いている。



「隼人最近連絡もなかなか取れないんだよ〜。」


まこはため息と一緒に出たような
消えそうな声で話してきた。


「今日電話してみたらー?」


とか、まこに歩きながら
話をしていたら


誰かとぶつかってしまった。


私はごめんなさいと

言ったような言ってないような


それほどうろ覚えの出来事だった。




その日の夜。


私のLINEに誰か友達が追加された。


すると、その通知のすぐに



『いきなり追加してごめんね!
今日ぶつかっちゃってごめん!
同じクラスの佐々木!よろしく♩』


いきなりのLINEに

私は驚いた。


佐々木くん。


何一つぴんとこなかった。笑


名前も覚えてない。


ぶつかったこともあやふやだ。



だけど暇ではあったし


LINEを返してみた。



それが私の初めての人との

はじまりだった。
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