狂犬の手懐け方


「痛いなぁ」

頬を押さえる相馬を睨んだ。
今日はいつもより睨んでばかりだ。額に深いしわが刻まれそうだ。

「お前、何がしたいんだよ」

尋ねてもニヤニヤしているだけだ。苛ついたから胸倉を掴んだ。

「君の愛は乱暴だよねぇ」

「き、気色悪いこと言うな!」

もう一発殴って顔をバランスよく仕上げてやろうかと思った。

腕を振り上げたところで、相馬は口を開いた。

< 11 / 97 >

この作品をシェア

pagetop