狂犬の手懐け方

相馬樹



「男前になったじゃねぇか」

「もとがいいからね」

教室に入った瞬間、唯一の友人の大槻亮平くんが楽しそうに言ってきた。

俺は何も楽しくない。

あの怪力女に殴られて、顔腫れてるし痛いし。

「で、振られたんだろ?」

「振られてないよ」

告白なんてしてない。
ただ、殴って教室に戻られただけだ。
< 17 / 97 >

この作品をシェア

pagetop