狂犬の手懐け方
「よう」
放課後、靴箱に行くと声をかけられた。
「なに、まだ殴りたりないわけ?」
へらっと笑いながら尋ねる。
苛つかせたいのが半分、会えて嬉しいのが半分。
犬塚ヒカルは俺を睨み、指をさしてきた。
「乗ってやる」
「は?」
「だから、付き合ったふりをしてやるって言ってんだよ」
「……え?」
犬塚の言葉の意味が理解できない。
いや、本当は理解できているけれど、この理解で正しいのかがわからない。