狂犬の手懐け方
「お前を後ろに乗せるなんて屈辱的だ」
「篠原も二人乗りとかしそうにないしね。もしかして君のハジメテを奪っちゃったのかな?」
「変な言い方すんな気色悪い」
学校も近付き相馬は自転車から降りた。
そのまま自転車で行くわけにもいかず、ゆっくりと漕ぐ。
どうしてこいつはいつも楽しそうなんだろう。よくわからない。
「ねぇ、あの人かっこよくない!? 私あの高校受験しとけばよかった!」
「でも隣の人彼女じゃないの?」
「妹じゃない? あ、でも似てないし友達かも。
てか彼女はありえないでしょ。全然釣り合ってないもん」
信号を待っていると近所の中学の制服を着た女子二人組が相馬を指差して騒いでいる。
こんな男を見ただけでそんな楽しそうにできるなんて理解不能だ。
「よかったね、狂犬ちゃん。
俺みたいな誇れる彼氏ができて」
とりあえずムカついたから相馬の上腕をパンチした。
痛そうに悶えている。ざまあみろ。