狂犬の手懐け方
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「てことがあってさ」
学校で凛に朝の出来事を伝えた。
「なに? 惚気? 私今惚気られてんの?」
断じて違う。
「違うし。どこをどう聞けば惚気に聞こえんだよ」
惚気要素なんてなかったはず。
「じゃあ何を言いたいわけ?」
凛がよくわからないという表情を浮かべた。
「……付き合うって、なんだ?」
私は恥を忍んで尋ねた。
仕方ない。私は付き合ったこともなければ少女漫画も読まないし、恋バナをする友達もいなかったんだから。
「えっ」
凛は楽しそうに大笑いを始めた。