狂犬の手懐け方
篠原凛
楽しい。本当にこの子、超楽しい。
「で、でーと?」
「そう。二人でいろんなところに遊びに行くの」
ヒカルは今、自称恋愛マスターの加奈子に話を聞いている。なんでも恋人らしいことがわからないそうだ。
そんなに気を張らなくてもいいんじゃないかって言ったけど、ヒカルは変に責任感強いから、「引き受けたからには」と強い意思を見せた。
「で、手繋いだり、キスとかしたり……」
「は、キス!?」
ヒカルは顔を真っ赤にして大声を出した。
怯える加奈子にゴメン、と謝って続きを聞いている。
「しばらくはそんなものじゃない?
よかったら少女漫画貸そうか? 参考になるかも」
加奈子の言葉にヒカルは頷いた。
加奈子はにこりと笑って鞄から漫画を取り出した。