狂犬の手懐け方
「あ、凛…」
いつもより力のない声だった。
「なんか元気ないね」
私の問いかけに首を横に振る。
そしてぎこちない笑みを浮かべた。彼女は本当に作り笑いが下手。
「あのさ、プリント見せてくれない?
休み時間できなかった」
私はいつもと違う様子のヒカル相手に、いつも通り接することができなかった。
いつもなら小言付きで課題を自力で解かせていたんだけど、今日は何のお咎めなしで貸してあげた。
……私がいない間に何があったんだろう?