狂犬の手懐け方

「え、ヒカル!?」

篠原は突然倒れた犬塚のそばで屈む。
俺も犬塚のそばに寄った。

顔は赤くなっている。倒れた時に打ったのか鼻血も出ていた。

とりあえず犬塚を背負って保健室に向かった。
どうして倒れたのか。わけはわからないけれど、ここにいるよりはましだろう。

俺だって例え細くとも、食事が少なくとも、男だ。おんぶくらい出来る。


犬塚の体は軽かった。だけどそれは当たり前だろう。犬塚も小柄で細い。
むしろ、いつもの怪力はどこから出ているのかが疑問なくらいだ。

……こうして目を閉じて大人しくしていると普通の女子なのになぁ。

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