狂犬の手懐け方

「いってくるわ。さようなら」

「バイバイ」

笑顔で手を振り先生を送り出した。
その時チャイムが鳴る。六限目が始まったみたいだ。

「六限目…現国か」

現国の担当は巻島望先生。マッキーの授業をサボれば後でかなり説教される。
そんな現実に辟易しながら、ベッドの上の女子を見る。

……今日はいた仕方ない。マッキーの説教は甘んじて受け止めよう。


「いつ起きるんだろ」

静かな保健室で呟く。
俺の声と犬塚の寝息、そして時計の針の音だけが聞こえた。

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