狂犬の手懐け方


この無駄に部屋数のある家は、貧乏のくせにそれぞれ自分の部屋があった。夫婦は同室。私、アキラ、そして現在小学三年のユキはそれぞれ自室。


私はお風呂から上がり、自室でアキラからもらった書店の袋を開いた。


「……漫画?」

中に入っていたのは5冊の漫画と一枚の紙だった。
先にその紙を読む。

『どうしてもっていうなら、これで勉強すれば?』

差出人の名前はなしで、そう書かれている。

整った字。差出人がなくても字でわかる。

これは相馬からの贈り物だ。

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