狂犬の手懐け方
「相馬くん、あんなの嘘よね!?」
「うーん…」
1年5組。
相馬は教室の中心で多くのクラスメイトに質問責めにされている。主に女子、てかむしろ女子しかいない。
「相馬」
私が相馬を呼んだだけで、女子達の鋭い目が私に向けられる。
どうして同級生を呼び出しただけでこんなに睨まれなきゃいけないのか。
「ヒカルちゃん」
相馬が私をそう呼んだ。気持ち悪くて鳥肌が立つ。
こんな風に呼ばれたのは小四の時に出会った当日以来だ。翌日には狂犬だとか呼んできやがったから。
相馬はニヤニヤしながらこっちに歩いてくる。
何を考えてんのか、全然わからない。