狂犬の手懐け方

「また壊したね」

「何を」

「鍵」

「え!?」

犬塚は勢いよく振り向く。
気付いてなかったのか。
まぁ見てもわからないだろうけど。

相馬はやれやれ、と微妙な笑みを浮かべた。

「足貼りにくいでしょ。
貼ってあげるから靴と靴下抜いどいて」

「なんか今日優しいな。気持ち悪い」

「えー、超心外。俺はいつでも優しいっての」

俺はとくにいる意味がないな、と思って保健室から出ようとした。

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