元カレ
手を引かれ、到着したのは……。
『穴場って、ここ……?』
学校から少し歩いた場所にある、廃墟になった小さいビル。
ここは人気も少ないし、あまり近づこうとする人もいない。
『人気がないから、いいんだよ。鍵が壊れてるから、簡単に中に入れるよ』
少しためらいながらも、手を引かれて中へ。
中はあちこちが老朽化しており、正直不気味だった。
『すごく、静かだね……』
『廃墟だからね。でも、静かだからこそ……落ち着く場所なんだ』
『そうなんだ。でもここなら、亮くんと2人きりになれるね!』
この時はまだ純粋に彼の事が大好きだった。
『ここ、2人だけの場所にしない?』
『いいね!亮くんと私だけの場所。何かロマンチックかも』
『んじゃ、密会する時にでも使おうよ』
『密会って、なーんかいやらしい言い方ねー』
『なっ!?べっ、別にそんなつもりはっ』
『ふふっ。冗談冗談』