元カレ
露わになった彼の上半身を見て、驚きの声が出た。
つい、目を逸らした。
「何なの……その痣」
彼の上半身には、あちこちに痣があった。
赤く腫れていたり、青黒くなっていたり……。
そして右腕と左腕には包帯が巻いてあった。
「その、包帯は……」
「ナイフで切られた。ま、そんな深い傷ではないけど……一応、自分で消毒して包帯巻いたんだ」
「そ、う……」
「どう?これで信じてくれる気になった?毎日毎日、俺はわざわざ早く家に帰って、あいつのストレス発散の道具になってんだよ。昨日もそうだった……。だから俺は何もしてない」
「っ……」
私の心が揺らぐ……。
彼の言ってる事は本当かもしれない、と思う自分がいる反面……彼を信じたくないと思う自分もいる。
何も言わず、彼を置いて逃げるように空き教室を出た。