元カレ
「村田くんっ!?大丈夫!?今、どこにいるのっ……?」
『玲奈ちゃんと、話した……公園に……』
「すぐに行くから!!」
電話を切って、階段を駆け下りて、お母さんに「出かけてくる!」と叫んで家を飛び出した。
何かあったんだ……!
村田くん、きっと何かされたんだっ……。
「はぁっ……はぁ……村田くんっ」
公園に行くと、村田くんがベンチに座って両手で右目を押さえていた。
苦痛に顔を歪めながら。
「大丈夫!!何があったの!?」
駆け寄って、隣に座った。
「その目、どうかしたの……?」
何があったのか、なんとなく予想できた。
ポタッと。
彼の手の隙間から何かが垂れた。
真っ赤な毒々しい色の液体……。
「っ……まさかっ」
「ごめんっ……玲奈ちゃん……。僕、丸川くんに直球に言ったんだ。迷惑してるから、もう……近づかないであげてって……」
「……うん」
「そしたら……逆上して……あいつ、ポケットにカッターナイフ入れてたみたいで……右目を、刺されたんだ」