元カレ



突如、すぐ目の前に差し出された手。


あぁ、なんてタイミング。
漫画みたい。



ヒーローみたいなタイミングで現れるなんて、本当に不思議。


差し出された手を握って顔を上げると……。



「どうしたの?こんな所で」


「村田くん……」


「派手に転んだね……大丈夫、じゃないよね……」



私に向って微笑む、右目に眼帯をした彼。


優しい笑顔を見て、更に涙が込み上げてきた。




「えっ!ど、どうしたの!?」


子供みたいにわんわん泣く私に、彼はオロオロしてる。

でもごめんなさい。
今は涙が止まってくれない。



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