元カレ
初めて、「お母さん」という言葉を口にした。
蛍さんは目に涙を浮かべながら「ありがとう」と言ってくれた。
血は繋がってないけれど。
この人とは、本当の家族になれるかもしれない。
俺は本気でそう思っていた。
でも徐々に、陰りが見え始めるようになっていた。
「どうしていつもそうなのっ……!?」
夜中にトイレに起きたら、リビングから蛍さんの怒鳴り声がした。
聞いちゃいけないと思いながらも、リビングのドアに耳を当てた。