元カレ




「あなたはいつも亮くんに無関心なんだからっ……」


「小さい子じゃないんだから、放っておけばいいだろ」


「血の繋がった、たった1人の息子でしょ!?」


「働いて養ってやってるんだぞ!?余計な口出しはするなっ!!」



これ以上、聞いてられなくて。

両手で耳を塞いで、逃げるように部屋に戻った。



それからも、頻繁にではないが、時折2人が言い争う声が聞こえるようになった。




だが、2人が離婚する気配もなく月日は流れ、小学校の卒業式を迎えた。




「亮くん、卒業おめでとう」


「ありがとう、蛍さ……お母さん」



彼女が母親になってから、もう少しで1年。

いまだに「お母さん」と呼ぶのは照れる。



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