元カレ
「っ……もう、嫌っ……」
泣きそうになりながら、暗い道を走った。
走って走って、ひたすら走って、無事に家まで帰れた。
「はぁ……はぁ……」
家の中に入って、玄関のカギを閉めた瞬間、安堵しながら崩れるようにその場に座り込んだ。
「あら玲奈、帰ってたの?玄関に座り込んで、どうしたの?」
リビングから顔を出したお母さんに、私はさっきの事を話した。
「うーん、たまたま方向が同じだったんじゃないかしら……」
「そうだといいけど……」
「でも、怖いわね……。玲奈、なるべく寄り道はしないで真っ直ぐ帰ってきなさい。今はなにかと物騒なんだから」
「……うん」
方向が同じだったにしても、やっぱり怖いな……。
裕太がいないから、特に心細い。