元カレ



それからすぐに乱暴にふすまが開いて、閉じる音がして、バタンと大きな音がした。


女の人が外に出て行ったみたい。




「……」


「玲奈、ごめんな……いきなり」


「別に」



押入れから出ると、亮くんは無表情だった。


何を考えてるのか。
全く読めない。



「今の人さ、一応、家族」


「一応?」


「俺がまたこっちに戻ってきた理由は、母親が自殺したからなんだ。俺があんな事件起こして、精神的に病んだのが原因。あの女は、蒸発した父親の姉。俺のおばさんにあたる人ってわけ」



今になって、初めて知った。

亮くんの……闇を。



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