元カレ
「帰る」
「ダメ!もっと、ここにいて」
「絶対に嫌よっ!!離してっ!!」
帰ろうとするものの、亮くんが強く腕を掴んで離してくれない。
これ以上、同じ空間にいたくないのに。
「亮くんっ……もう、私の事なんか嫌いになってよ!?私、本当は薄々だけど気づいてたの。亮くんが何か闇を抱えてるんじゃないかって……」
「……」
確信はなかったけど。
なんとなく気づいてた。
亮くんには心の闇があるんじゃないかって。
だって、付き合ってた頃、彼は一度だけこんな事を言ってた。
『小説やドラマの中じゃ、家族は素晴らしいものなんて綺麗事言ってるけど、そんなん所詮は綺麗事、家族なんか……ただのカスでしかないよ』
と、当時話題になってた家族の絆を描いた小説の話をした時に言ってた。