君を追いかけて
それは、橘 遥斗先輩。
私がいままで好きだった人。
遥斗先輩は、バスケ部のキャプテンでいっつも女子に囲まれてて、あたしの憧れの人だった。
入学の時、先輩のシュートをみて一目惚れしてしまった。
先輩を追いかけて、女子バスケ部に入部したようなもの。
入部したものの、びっくりするほど下手くそで、もうやめたいって思った時
「もっと、ひじのばして」
そこにいたのは、遥斗先輩だった。
「まっすぐゴールをみて」
そっとやさしく教えてくれた。
憧れの人が目の前にいるだけで、どきどきしてる心臓を抑えながら
言われたとおりにした。
「シュート!」
先輩の声とともに、ボールを手から離した。
気づけば、ボールはゴールの網を通っていた。
「は、入った!!」
いままで、感じことのない喜びがあふれた。
こうやって、先輩と話せるなんて夢見たい…
バスケ部入って良かった…
こんなことで、ばかみたいに喜んでいるあたしの横で先輩は
「やればできんじゃん」
そう言って、ぽんぽんとあたまをなでた。
その感触が忘れられなくて
それが、切ない恋の始まりだった。