ラブモーション
無表情で私を見下ろす永倉くん。
後ろでは巻き添えを食らった女子がびっくりしたように固まっていた。
だけど、その数秒後、たぶん私よりも1オクターブ高い声で言った。
「碧衣っ!すっごい!最高のパフォーマンスだよっ」
まるで〝助けてくれてありがとう〟と言っているような口振りだ。
被害者は私で、加害者は君らなのに・・・っ。
「碧衣サイコー!」
「やっぱお前は俺らのボスだよ。」
「一生ついてくーっ」
漣のように広がっていく歓声。
そして永倉くんに群がって腕に纏わりつく女子達。
そのとき、ぎゅっと誰かに足を踏まれた。
「いたっ」
あまりの痛みに思わず悲痛の叫びをもらす私。
踏みつけられた足に乗っかっている足を辿っていくと、私の足を踏みつけている人の正体が分かった。
「ザマーミロ」
嬉しそうに卑しげな笑みを浮かべて私を見下ろすのは、さっき巻き添えを食らって甲高い声を上げた人だった。
名前知らない。
ぎりぎりとわざと足に力をこめる彼女は、怒りを私にぶつけるように思い切り私の足を踏みつけた。