ラブモーション
「いたっ、いたい・・・」
激痛に顔を歪ませながら必死に痛みを堪える私を見て何を思ったのか、彼女は自身の長い足を思い切り持ち上げた。
その顔は、綻んで見える。
彼女はたぶん、恐怖に怯える私の顔を見て、さぞかしいい気分になっているだろう思う。
湿った彼女の靴のあとが、踏みつけられた部分に痕としてくっきり残っている。
ふっと笑みを曇らせて、足を振り下ろす。
ぎゅっと目を瞑ったそのときだった。
「お前、なにしてんの?」
踏みつけられる、そう思って目を瞑ったのに、不思議と痛みは無かった。
恐る恐る目を開ける。
眼に光が入る。
そして私の瞳に映ったのは、彼女の足を摑む永倉くんの姿だった。
「な、なにって・・・・」
ねえ?と同意を求める彼女に、周りはなんにも反応しなかった。
永倉くんの冷たい瞳と、周りからの態度にたどたどしく足を降ろそうとする。
だけどそれは、永倉くんが許さなかった。
「お前、何勝手にやろうとしてんの?」
「えっ・・・?あ、碧衣?」
取りあえず放して?と震える声でそう言う彼女。
その瞳には、恐怖の色が浮かんでいた。