ラブモーション
さっきから黙ったままの永倉くん。
もしかしたら、私、これから永倉くんに殴られる?殺される?
だけど、永倉くんが動くような気配は感じられない。
気まずい雰囲気の中、私はそっとベッドから足を降ろした。
ぎしっとまたパイプのベッドが軋む。
ぴたりと皮膚に濡れたブラウスがへばりついた。
途端にひんやりとした感覚が体中を痺れさせ、私は思わずぶるっと身震いをした。
腕のブラウスを引っ張ると、引っ付いた部分を摘み上げて皮膚から離れさせる。
それでも少しの抵抗と、スカートだけは太股に当たらせまいと踏ん張っていた。
内履きを急いで履いてベッドから腰を上げて立ち上がり、どもりながらも
「ど、どうぞ」
そう言ってベッドを永倉くんに譲る。
そんな私を、永倉くんは薄い唇をきゅっと結んだまま見つめた。
そして、綺麗な唇をゆっくり動かして言った。
「黒木の使った後のベッドなんか、使うかよ。」
眉を微動だすることなく、淡々とそう言ってのけた永倉くんに、私は苦笑いを零した。
「そ、そうだよね・・・。」
そういわれる事なんか、承知していたのにね。
ズキンと、胸が痛んだ。