ラブモーション
はあ、と大きくため息を吐いた永倉くんに、思わず「ごめん」と謝る。
そして、私は自分が左眉だけをへの字に曲げていることに気がついた。
これは昔からの癖だ。
直そうにも、直せないって言うのはこれを言うのか。
そう思いながら、ふと横から視線が感じるなと思い顔を上げた。
「・・・・・・っ」
目を見開いてこちらを見つめる永倉くん。
あらかさま、驚いたように唇を震わせて言った。
「にて・・・」
・・・・にて?
不思議そうに首をかしげていると、はっと我に返ったように永倉くんは目を伏せた。
男の子にしては長い睫毛が僅かに揺れている。
――泣いている?
そう思って顔を覗き込もうとした途端、永倉くんはばっと顔を上げてキッと私を睨みつけた。
「こっち見んな。消えろ。」
冷たい目をした永倉くんは、失せろとドスの利いた低い声で言い放つと、パイプのベッドに勢いよく寝転んだ。
そんな永倉くんを横目に、私は保健室を出ると思った。
――さっき、私のが使ったベッドなんか使うかって言ったじゃん。