待宵草 ~初夏の嬋媛~
第一章:秘めたり恋のウロコ

漆黒の薔薇

今日も、キャップを外したのは紅い口紅だった。



それはいつもと変わらない事だけれど、




今日は、いつもと違う新しい口紅。




塗り方なんてワンパターンなはずなのに、




ドキドキしながら、念入りに塗っちゃって。




鏡に映る自分は、いつもどおり

くっきりした真っ黒なアイラインに、これまたマスカラで最大限まで伸ばしまくった睫毛。





それと、この新しい紅い口紅。



いつもとなんら変わりないメイクなのに、





単に口紅が新しいモノだから違って見えるのか、




それとも、







“アノ人”からの贈り物だからなのか。



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