この気持ちは、気付かれない。



声を出そうにも、息も苦しくて上手く声が出なかった。



「…あんたの帰るとこは、優衣のとこでしょ……」

「……。」





なんで、なんで、なんで。

どうして普通にここに来るの?
どうしてわたしは精一杯拒否しないの。
どうしてこんな苦しい思いをしなきゃなんないの。



苦しくて苦しくて、涙が出た。






「…優衣には明日の昼に帰ってくるって言ってるし、明日、優衣は学校だし、皐月が心配することは何もねぇよ。とりあえず、飯作るわ。」






ぽんぽんと頭を撫でられて、さらに涙が出る。


わたしの求めてる手はこれじゃない。

だけど、求めてるのがどんな手なのかなんて、わたしは知らない。この人しか知らない。














もう、ほんとに、……苦しい。







< 14 / 111 >

この作品をシェア

pagetop