この気持ちは、気付かれない。
声を出そうにも、息も苦しくて上手く声が出なかった。
「…あんたの帰るとこは、優衣のとこでしょ……」
「……。」
なんで、なんで、なんで。
どうして普通にここに来るの?
どうしてわたしは精一杯拒否しないの。
どうしてこんな苦しい思いをしなきゃなんないの。
苦しくて苦しくて、涙が出た。
「…優衣には明日の昼に帰ってくるって言ってるし、明日、優衣は学校だし、皐月が心配することは何もねぇよ。とりあえず、飯作るわ。」
ぽんぽんと頭を撫でられて、さらに涙が出る。
わたしの求めてる手はこれじゃない。
だけど、求めてるのがどんな手なのかなんて、わたしは知らない。この人しか知らない。
もう、ほんとに、……苦しい。