この気持ちは、気付かれない。
どれだけそうしてうずくまっていたのかは分からないけれど。
泣き疲れて、頭が痛くなって、クラクラしながら水を飲んだ。
わたしが沈んでいる間にできたらしい鍋を食べて、あったかくて美味しくて不覚にもホッとしてしまった。
図太くもぱくぱくとご飯を食べるわたしをみて、山本くんは笑っていた。
「ちゃんと食えるみたいで、安心した。」なんて。ばっかじゃないの。
二人で並んでテレビを見て、別々にお風呂に入る。いや、当たり前なんだけど。
そして、「髪、乾かしてやるよ。」という彼の足元に大人しく座り込んだ。
もうどう抗ったって無駄だ。どうせ、無駄。
わたしがお風呂に入っている間に洗い物も片付けてくれたらしい。
しっかり吹き上げてある食器は、いつも通りに並んでいた。